おそいひと

身体障害者だって、普通の人間なんだ。
なんて言葉で終わらせられない。
普通の人間って、なんだよ。
主人公の墨田は身体障害者
言葉も歩くのもままならない。
ヘルパーという形でかかわり続ける若者たち。
おんなじ人間ならば、自分だけ不自由な体、五体満足な人間がうらやましくないわけがない。
よく考えれば分かるはずだよね。
「フレンドリー」という名で、若者は墨田を異物として優しく扱い続ける。
鬱々としていく墨田は殺人を犯してしまう。
恐ろしいのは、殺人と通り魔的に繰り返してしまうこと。
お互いにねじれてしまった気持ち。
この映画の恐ろしいのは、異物というのは善悪の判断さえ狂わせてしまうということ。
殺人は絶対に悪のはずなのに、同情してしまってる自分がいる。
自分の中に、障害者に対する「フレンドリー」を見つけてしまったようで恐ろしい。
それだけの感想を、私の中に植え付けたこの映画は、すごいと思う。

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