やきん

大きな足音と、小さなまばたきで彼は吸い寄せられる。
夜は長い。
暗い蜘蛛のなか、私は冒険
懐中電灯。
電話から愛してると言われても、頭の中が弾けるんだ。
スパークするんだ、恐れが。闇が。痛みが。
人が人であるかぎり止めていただける痛みよ。
小さな嘆き、朝には降り積もる灰。
世界は曇る。
曇りもいい加減愛想を尽かし、不貞腐れた時にやっと外から鍵をあける音。
それまでいくら耳をすましても、聞こえなかった音。
彼の声、匂いを嗅ぐ。
疲れ、能天気。
私の冒険をどう打ち明けてくれようか。
私の痛みを、細かな灰を、どんな風に伝えるべきか私は知らない。
私は、なんなんだろうか。